【御朱印デザインの作成ガイド】特別な御朱印の作り方・おすすめ和紙
2025.09.18 | 御朱印 | 和紙印刷のコラム
目次
御朱印のデザインってどうやって作ればいい?
御朱印のデザインといえば、かつては墨と朱印でシンプルな内容のものが一般的でした。しかし、近年では、季節感を取り入れたり、その寺社ならではの個性を表現したりと、デザイン性の高い特別な御朱印が増えています。『参拝者に喜んでもらいたい』という思いから、行事や記念日などに合わせたデザインの御朱印を用意されるのも一般的になってきました。
特別にデザインされた御朱印は、頒布の際に手渡す「書置き御朱印」に分類されます。そのため、デザイン面以外にも「書置き御朱印」ならではのメリットがあります。
◎参拝者が集中しやすい時期の混雑緩和に役立つ
◎御朱印を書く人員が常駐していない寺社様でも安定して頒布できる
「御朱印のデザインを新しくしたいけれど、何から始めればいいか分からない」「どんな紙を使えばいいか迷っている」という方のために、この記事では、魅力的な御朱印を作るためのポイントを徹底解説します。
魅力的な御朱印デザインの事例
御朱印のデザインは、もはや墨と朱印だけの世界ではありません。今では、材質や加工などに工夫を凝らした、個性的な御朱印、おしゃれな御朱印がたくさん生まれています。ここでは、実際の御朱印デザイン事例に加え、「御城印」「姫印」「御山印」など御朱印から派生した様々な〇〇印の事例もご紹介します。
1.イラストや写真を取り入れたデザイン
季節の花や風景、寺社に縁のある動物や神仏のイラスト、美しい景観の写真などを取り入れることで、御朱印の印象は大きく変わります。
季節:春の桜、夏のひまわり、秋の紅葉など、季節の草花が描かれているだけでも季節限定の特別な御朱印になります。
風景:境内や周辺の美しい風景や、御神木などを背景にデザインすれば、参拝の思い出をより鮮明に残す御朱印になるでしょう。
個性:龍や鳳凰、狛犬など由緒に関係する架空の生き物、猫やうさぎなど縁のある動物などをデザインに取り入れるのも人気です。
朱印や文字の余白に写真やイラストをデザインする以外にも、文字や朱印の背景全体に配置するなど、デザインやレイアウトでも御朱印に個性を持たせられます。
【御朱印デザイン事例】
縁のある品から描き起こした繊細なイラスト:覚園寺「天地殿御朱印」
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オフセット印刷で重厚な仏画と美しいグラデーションを再現:善光寺東海別院「御本尊御開帳 見開き御朱印」
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愛らしいキャラクターデザインの御朱印台紙:コロナの妖精プロジェクト「萌春寺御朱印」
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2. 和紙の風合いも御朱印デザインの一部に
御朱印のデザインは、紙選びから始まっています。和紙の種類を変えるだけで、同じデザインでもまったく異なる雰囲気を演出できます。ここでは、和紙の印刷工房でよくお問い合わせいただく和紙と、御朱印のデザインをより引き立てるおすすめの用紙をご紹介します。
白い和紙:奉書紙(ほうしょがみ)/さつき
表面が滑らかで筆運びがスムーズな和紙。「奉書紙」はすっきりとした青みの白さ、「さつき」は黄色味がかった柔らかな白さです。筆文字に朱印のみのシンプルな御朱印から、繊細なイラストや写真入りのデザインまで幅広くお使いいただけます。
どちらも裏面のザラっとした風合いが強い面に印刷する『裏刷り』を選ばれるお客様もいます。また、特にしなやかな風合いの「さつき」は、ちぎり加工と相性がよい和紙です。
上品で華やか:雲龍紙(うんりゅうし)/大礼紙
微かにキラキラと感じる繊維が散らばった独特の風合いは、高級感と温かみを感じさせます。スミ1色のシンプルなデザインでも高級感を演出でき、箔押しを組み合わせると非常に格調高い仕上がりになります。金銀振り、耐水、色付きなどのバリエーションもあるのでご相談ください。
カラーバリエーションが豊富:和紙風洋紙
伝統的な和紙の風合いを取り入れた洋紙は、色や厚さのバリエーションが豊富なため御朱印でも活躍しています。薄い色は印刷をより個性的に仕上げ、濃い色なら箔押しとの相性抜群です。昨今人気のレーザーカットの切り絵御朱印では、切り絵デザインをより際立たせるのに一役買っています。
御朱印デザインのイメージに合わせた用紙選びが、より特別な御朱印を作りあげます。ご紹介した以外にも、色付きの和紙やキラキラと輝く特殊紙など、様々な用紙をご案内できますのでご相談ください。
【デザイン事例】
通常より厚手の里紙(和紙風洋紙)とレーザーカットの組み合わせ:大室山 淺間神社「切り絵御朱印」
3. 特殊加工で個性を出すデザイン
デザインや用紙選びのほかに、特殊な加工でオリジナルの御朱印に仕上げることができます。
箔押し加工:金や銀、様々な色の箔を熱と圧力で紙に転写させる加工です。文字や寺社印を箔押しにすることで、印刷では出せない光沢がプラスされ一気に豪華な印象へ。
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型抜き加工:専用の抜型を作り用紙を打ち抜く加工。御朱印の形自体を四角以外の形にくり抜くことで、遊び心のあるユニークな御朱印が作れます。
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レーザーカット:レーザーで形や模様を切り抜く加工。カット用データを作成し、繊細な柄も切り抜きます。切り絵御朱印のほとんどがレーザーカットで製造されています。
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ちぎり加工:和紙の四辺を手作業でちぎり、柔らかい毛羽立ちを作る加工です。手作りの温かみと和紙の風合いを際立たせ、特別な日の限定御朱印などにおすすめです。
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【デザイン事例】
ちぎり加工と箔押しの組み合わせ:日峯神社「お正月用 御朱印」
型抜き御朱印のオリジナルサンプル:和紙の印刷工房
4. 御朱印のサイズと基本的な構成
御朱印をデザインする際は、御朱印の基本的なサイズと構成を把握しておくとよいでしょう。参考までに、当社の製造実績に基づいたサイズをご紹介します。
御朱印帳のサイズと御朱印のサイズ
御朱印のほとんどは御朱印帳の「1ページ分」と「2ページ分(見開き)」の2つのサイズに分類されます。
1ページサイズ:縦148〜160mm × 横100〜110mm
一般的な御朱印帳に収まるサイズです。
2ページ(見開き)サイズ:縦148mm~160mm × 横200mm~220mm
特別な限定御朱印などに用いられることが多く、見開きタイプの御朱印帳にも収まります。
◎御朱印帳や御朱印のサイズについては、以下の記事もご覧ください。
御朱印の基本構成
一般的な御朱印は、以下の4つの要素で構成されています。
奉拝(ほうはい):神仏に心からお参りしました、という意味。
寺社名:参拝した寺社名
年月日:参拝した日付
寺社印:寺社名や御本尊などの御宝印の印影(朱印)
これらの要素は、手書きで加えられることもあれば、あらかじめ印刷されている場合もあります。印刷で作る際は、これらの要素をどのように配置し、御朱印のデザインに落とし込むかが重要です。
5. 御朱印のデザインから印刷までを依頼する方法
御朱印のデザイン・印刷・製造をまでの3パターンをご紹介します。
1. デザインや印刷の知識に自信アリ!自分でデザイン、自分で入稿の場合
デザインソフトも扱えて印刷の知識もお持ちの場合は、自分でデザインして印刷会社に依頼する方法が1番に思い浮かぶでしょう。メリットはデザイン費を抑えられる点ですが、和紙印刷に対応している印刷会社は限られているため、業者探しの手間がかかるかもしれません。
2. デザインはプロに依頼したから安心?!印刷会社への入稿だけを行う場合
印刷物のデザインを得意とするデザイナーにお願いすれば、素材やイメージを伝えるだけで御朱印のデザインデータを作ってもらえます。プロが作ったデータなら、印刷会社での受け入れも比較的安心と言えます。ただし、デザインと印刷を別々に依頼するため印刷の知識がないと難しく感じるかもしれません。
3. デザインも印刷もプロにおまかせ!御朱印に特化した印刷会社にすべて依頼する場合
デザインや印刷の知識がない場合は、御朱印の制作実績が豊富な印刷会社にまるごと依頼する方法もあります。デザインから和紙選び、印刷、加工まで一貫して任せられるのが最大のメリットです。初めての制作でも安心して進めることができます。
「デザインの知識がない」「特殊な加工は難しそう」「和紙印刷を断られた」という方も安心!
御朱印の制作・製造なら、和紙印刷の専門サイト「和紙の印刷工房」にご依頼ください。
Q&A 御朱印のデザインでよくある質問
Q1. 書置きの御朱印は、何のために用意するのですか?
A. 御朱印帳への書き入れが難しい場合(天候不良/書き手の不在)でも御朱印を頒布するために用意します。参拝者が集中する時期には、混雑の緩和にも役立ちます。また、直書きではできない加工ができるため、行事や季節の限定としてデザイン性の高い御朱印を頒布する目的もあります。
Q2. 印刷の御朱印でも、手書きの良さは残せますか?
A. 墨絵や筆文字など原稿をご用意いただければ、印刷で再現可能です。特にオフセット印刷での製造は、手書きの風合いに近い仕上がりを再現できます。日付は頒布時に書き込んだり、寺社印は直に押印するなどで、手書きの要素を残すこともできます。※原稿を画像でご用意いただいた場合は解像度に準じた再現となります。
Q3. 御朱印デザインの制作依頼には、どれくらの費用がかかりますか?
A. デザインの内容や依頼先によって異なります。シンプルなものでもデザイン費は数万円〜が一般的でしょう。複雑なデザインや、修正回数などでもデザイン費は変わってきます。まずは、複数のデザイン会社や印刷会社に見積りを依頼し、ご予算に合う会社を選ぶことをおすすめします。
Q4. 手書きの筆文字やイラストをデータ化する手順を教えてください。
A. 手書きの素材をスキャナーで取り込むのがベスト。解像度は、実際に使用するサイズに対して最低でも350ppiは必要です。スキャナーがない場合は、カメラでの撮影でも構いませんが、できるだけ鮮明な画像を用意することが重要です。水平で影が入らないように撮影する必要があるため、難易度が高いと言えます。
取り込み後は、Photoshopなどの画像処理ソフトを使って色味やコントラストを調整したり、Illustratorなどでベクトルデータ化し、印刷に適した状態にします。
ただし、和紙印刷に適したデータに調整できているか判断するには、専門的な知識が必要です。和紙の種類や印刷機の特性を考慮したデータ調整が求められるため、専門業者に依頼すれば、このようなデータ化の工程をすべて任せることができ、高品質な仕上がりが期待できます。
製造事例/仏画、寺社印、筆文字などの素材提供から当社でデザイン制作:善光寺東海別院「御本尊御開帳 見開き御朱印」
御朱印デザイン、印刷、加工なら和紙の印刷工房へ!
現在の御朱印デザインは、寺社の個性を表現し、参拝者の思い出を彩る重要な要素とも言えるものになりました。
用紙をこだわったり、イラストや写真を入れたデザイン、特殊加工など様々な工夫で心に残る特別な御朱印を作ることができます。御朱印の制作を検討されている場合は、デザインの知識や印刷のノウハウを持つ専門の業者に相談することで、寺社の思いを込めた御朱印デザインを形にできるでしょう。
「安定的に頒布したい」「和紙にこだわりたい」「オリジナリティを出したい」など、御朱印に関するお悩みをお持ちなら、御朱印の製造数100万枚以上※の実績を持つ『和紙の印刷工房』にご相談ください。※2017年のHP開設(御朱印サービスは2019年開始)からの御朱印、御城印、御山印などさまざまな〇〇印の累計。(2025.09現在)
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