和紙印刷:玉簾神社『書置き御朱印』と製造のポイント
2020.11.17 | お客様事例
最近よくご依頼のある御朱印や御城印ですが、納品後の使い方に合わせて製造方法をご提案しております。
箱根湯本温泉 天成園 様からご依頼の、ホテルの庭園内『玉簾神社』の御朱印を例にポイントを解説いたします。
↑左:納品の状態/右:お客様による書き込みと押印済みの状態
寺社印や日付は直に書き込みたい!
今回は筆文字のご提案や、指定のサイズ内への配置などデザイン制作を含めてご依頼いただきました。ただし、条件があり「日付の書き込みと押印は直接行いたい」とのこと。
まずは、筆文字部分の書体をいくつかご提案させていただき、デザインを制作。内容は寺社名を大きく配置した、スミ1色刷りのオーソドックスなデザインです。
お客様のご要望を踏まえ寺社印がきちんと乗るように、製造は【オフセット印刷】にて行いました。
↓書体の提案例
後からの書き込みに適した印刷方式とは?
当社では御朱印のご依頼の際、「印刷面に後から文字を書くことがあるか?」を、確認させていただいております。
基本的には、ご予算や数量に合わせて、【オフセット印刷】か【オンデマンド印刷】をご提案しておりますが、印刷面に後から書き込みや押印を行う場合には、インキが紙に馴染んだ【オフセット印刷】をおすすめしております。
印刷面への書き込み比較
【オフセット印刷】
油性インキを使用した一般的な印刷方式。インキが染み込んでいるため、後から書き込みや押印が可能です。
写真は、奉書紙にオフセット印刷したものに、墨汁で書き込んだもの。印刷部分と書き込んだ文字が馴染み、問題なく書けています。
【オンデマンド印刷】
粉状の着色材料を、熱で圧着させる印刷方式。印刷面には着色材料の皮膜ができ、やや光沢がある。
写真は、奉書紙にオンデマンド印刷したものに、墨汁で書き込んだもの。白っぽい部分以外は、墨汁が弾かれて書き込みが擦れています。
◎油性インキが洋紙に馴染むオフセット印刷では、書き込んだ墨汁も染み込みやすい印刷方式と言える。
◎オンデマンド印刷では、印刷面にできる皮膜が墨汁やインクを弾きやすい性質がある。
上記の比較から、オフセット印刷に比べオンデマンド印刷は書き込みに不向きと言えます。もちろん、オンデマンド印刷であっても、書き込む部分に印刷がなければ問題ありません。油性ペンや朱肉など弾きにくいものや油性の墨汁など書き込める画材もありますので、サンプルをご請求いただき、試し書きを行なってみてください。
箱根湯本温泉 天成園 様
全長17メートルの「天空大露天風呂」など様々な浴場で、天然温泉を楽しめるホテル。今回の御朱印は、ホテル庭園内の「縁結びの神様」を祀る【玉簾神社】にて頒布されています。
箱根湯本温泉 天成園 HP