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高級感を演出する箔押しの種類や版について

2023.03.02 | コラム

箔押しとは、別名「ホットスタンプ」と呼ばれる特殊印刷技術の一つで、伝統的な、光沢を出す表面加工です。箔と言うより金箔と言った方が身近に感じるかもしれません。金箔はおせち料理の彩りやお祝い用の日本酒に入っていることもあります。日本では、漆器や蒔絵、仏具などに貼り付ける金貼りが技術の元になっているとも言われます。

海外では紀元前1200年頃にエジプトで製造され、様々な装飾に使われ長い歴史があります。確かに歴史番組で紹介されるエジプトの王様の仮面や装飾品など様々な世界遺産を思い返すと納得する所です。日本国内の金箔の発祥は正確なことは明らかになっていませんが、金の施されたアクセサリーが古墳時代の遺跡から多く出土されていることから古くから重宝されてきたと考えられます。

昔の調度品や工芸品には薄く延ばした金を貼っていましたが印刷加工において本当の金を貼ることは費用的に現実的ではありません。

今回は近代において大量生産を行う為に発展した箔押し加工についてご説明をいたします。


そもそも箔とは?

箔は、金属の展延性を利用して金、銀、錫(など)の材料をごく薄く打ち延ばしされたもので、適当な大きさに切って漆を糊代わりに美術品や工芸品の装飾として貼られていました。近年はプラチナ、アルミ、銅、真鍮なども材料として用いられます。古くは752年、大仏開眼供養が行われた東大寺大仏殿の鴟尾(しび)も金箔により燦然と輝いていたと伝えられていますが、日本の建築、家具、調度品、器物に多く使われ、その芸術性や工芸品の価値を高める為に重宝されてきました。

印刷における箔押しとは、箔を専用の版を使い熱と圧をかけて材質(紙)に色や質感を転写させる加工のことです。材料の箔は先述した建築や調度品などに使うものとは異なり、フィルムにアルミを中心とした金属粉を蒸着させた素材を指します。このような箔は1960年代に入ってから日本で使われ始めました。

一般的に市場でよく見る箔の色は光沢のある金や銀などですが、他にも赤や青など様々なカラーバリエーションがあります。版もデザイン性や耐久性により胴やマグネシウムなど使い分けます。

 

箔の種類

印刷で使われる箔の種類は大きく分けると、①金銀など金属光沢のあるメタリックホイル、②顔料を使ったマットな仕上がりになる色箔(ピグメントホイル)、③光の加減によって見え方が変化するホログラムホイルに分けられます。

メタリック箔

メタリックホイルは、その名の通り、金属光沢を素材に表現できる点が特徴であり、ツヤ有り金・銀、ツヤ無し(マット)金・銀などの代表的な色から、赤・青・緑など様々な色に対応しています。箔メーカーに常備在庫されている色は14種あり、また用途が限られるがそれ以外の色も近年増えている。

顔料箔

顔料箔は、顔料と樹脂をベースに色付けされた、光沢感のない箔です。メタリック箔のように光沢感がないので一見すると普通の印刷に見えますが、オフセットインクより遮蔽力が強いので下地の色の影響を受けづらいです。また、和紙のようなインクが沈み込みやすい素材でも、沈み込むことなく色がはっきりと出ます。

ただ、最近顔料箔のカラーバリエーションが減った為、選択肢がかなり限られるのが難点です。

ホログラム箔

ホログラム箔は、通常の金箔のように金色単一の光彩を放つ表面とは異なり、三次元像を再生し高い輝度を持つ特殊箔です。ホログラム箔は、偽造防止にも使用される技術であり、身近なものではお札にも応用されています。

以上のように大きく3種類の箔がありますが、全ての箔がどんな材質にも転写できる訳ではなく、イラストに示した接着層の種類により用途が限られます。和紙のような表面が粗い素材には、適した接着層を選ぶ必要があり、またその加工にも適した温度や圧力を見極める経験が求められます。

 

箔版とは?

箔版には多くの場合、腐食版が使われます。これは金属版(おもにマグネシウムや胴の材質)を、薬品につけて腐食させ、図柄を凸版に起こしたものです。絵柄が複雑になると彫刻版を使うが、高価な為、現実的には腐食版で対応することがほとんどです。

マグネシウムと胴版の使い分けですが主に2つの点に注意しています。1つは耐久性。マグネシウムと比較すると銅板が圧倒的に固い為、大ロットであったり、箔がへたりやすい案件では銅の方がお薦めです。また版の厚みも複数有り、銅板は1㎜、1.5㎜、3㎜、7㎜と4段階あり、マグネシウムも1㎜、1.6㎜、3㎜、7㎜と同様に4段階あり、厚いものは深彫が可能です。

2点目は価格です。銅板は原材料が割高であり、また腐食加工に時間が掛かる為、溶液も多く使用します。ですので、単純な価格で見ると銅板が高くなります。大ロットでマグネシウムを使って途中で作り直すことがあると二重、三重と版代が掛かりますので使用頻度や耐久性を総合的に勘案して材質を決定します。実際の所、絵柄や面積により掛ける圧力や設定温度も変わり消耗具合も変わるのが材質決定の難しい一面です。

またいずれの材質を選択しても残る問題があります。それは物理的に再現が可能かどうかです。あまりにも細かい線などは版自体が作成できない、もしくは版が作れても箔押しをする際にうまく箔が定着しないことがあります。概ね0.2㎜の線を再現性の目安としますが、0.2㎜が密集したデザインだと難しいなど絵柄によっても製造可否の判断が変わるので一概に言えない部分もあります。

和紙への箔押し

市場に出ている商品で和紙以外の素材への箔押しが目立つのか、和紙への箔押しはできますか?と問い合わせを受けることがあります。もちろん、可能です。熨斗袋は身近にある箔押しされた代表的な商品です。箔押し自体は先述した接着層を選択すれば和紙に限らず、革やプラスチックにも加工ができる幅広い加工です。和紙の場合は、表面が一般的なコート紙・アート紙などより粗いので粗面に向いた接着層を選ぶ必要があります。上記した箔の中では実は粗面紙に対応した接着層がないものもあり、デザインなど行う前に対応可能な箔を選ぶことも重要です。

楮紙 オフセット印刷:御城印(箔押し+ちぎり)

雲竜和紙シール:オリーブオイル変形ラベル

和紙印刷なら当社におまかせ!

当社は大正10年に創業し、米どころである新潟県柏崎にて、日本酒ラベル、和菓子のお土産品など和紙を利用する印刷物を通して和紙の印刷技術を培ってきました。

新たに和紙を利用した印刷物の作成をお考えであれば、ぜひ和紙の印刷工房にお任せください。豊富な実績と培った技術で、理想の仕上がりを形にします。

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参考資料・参考サイト

◎グラフィック社「デザインの引き出し」

◎ツジカワ株式会社HP

◎河内屋HP

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