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日本酒ラベル製造に関する注意点

2022.10.05 | 制作と入稿 | コラム

近年日本酒の海外輸出量が伸びています。2021 年度の日本酒輸出実績は金額・数量共に過去最高で、金額は 400億を超え、数量は 32,000 キロリットルを越えました。コロナ禍からの経済回復や海外ECサイトでの日本酒販売の増加、高価格帯の日本酒の人気拡大などが要因とされています。

日本酒のラベルは非常に凝ったデザイン、加工のものが多く、一目で日本酒と理解されることに一役買っています。日本酒ラベルは印刷物の中でも印刷難易度、加工難易度が高いですが、今回は日本酒ラベルを作る際に気を付けたいことを紹介していきます。

素材について

日本酒ラベルで使われる和紙ですが、主に糊付きか糊無しかで分かれます。

糊付きラベルとは一般的にイメージされるシールと同様で台紙を剥がすとすぐに接着できるラベルです。一方で、糊無しはラベルの裏面にシール加工がされていない為、ラベルを貼る際は蔵元にて糊加工ができる設備が必要となります。

いずれのラベルでも、日本酒という和の製品イメージに合う和紙素材を選択されるケースが多いです。糊無しの方が素材の選択肢の幅が広く、紙の厚みなども複数あるのですが設備がないと貼ることができないのでお客様の設備仕様に合わせて提案することが重要です。

具体的な和紙の素材は、糊付き・無しに関わらず、雲龍紙、大礼紙が一般的によく見られる素材です。華と呼ばれる繊維が散りばめられていて冠婚葬祭で使われる封筒にも利用される材質です。それ以外でも和紙風の用紙、手漉き和紙やちぎり和紙など様々な材質が採用されています。

和紙の種類は以下ページでもご紹介をしております。

https://washi-insatsukobo.com/material

 

ラベルの種類

日本酒ラベルは貼る場所により胴貼り、裏貼り、肩貼りなどに分けることができます。

胴貼り

胴貼りは表貼りとも呼ばれる商品の顔となる部分です。

お酒の瓶はオリジナルの形状で作ると型代が非常に高価となるので一般的な形状を使用されることが多く競合他社との差別化が図れません。

そこで蔵元各社は商品の顔となる胴貼りのデザインで差別化を図るべく鎬を削っています。

胴貼りは和紙素材を使い、箔押しやちぎり加工など様々な加工を施し目を引くデザインにすることが多いですが、裏貼りは上質紙やコート紙などへの1色印刷としコストを抑えることが多いです。

 

裏貼り

裏貼りはあまり飾り気がなく日頃気にされる方は少ないかもしれませんがこちらも重要なラベルとなります。

日本酒はアルコールを含む為、酒税法により課税される商品です。

アルコール度数により課税率が異なりますが度数は裏貼りに記載されることが多いです。

度数以外にも、材料、商品の酒質、杜氏の想いなど各蔵元のPRポイントが記載されます。

なお、胴貼りしかない製品は1点貼りと呼ばれ、胴貼りに度数が記載されます。

 

肩貼り

肩貼り(肩ラベル)とは、瓶の上部で曲線になっている箇所に貼るラベルです。

新酒、初絞り、山田錦100%など強調したい製品の特徴が表現されます。

以前は一級、特級、特撰などの表現も使われましたが、優良誤認表示が禁止されてからは表現として避けられています。

※不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れがあると認められる表示は禁止されています。

肩貼りは各社オリジナルの形状を採用することがあり、その際は金型を利用した抜き加工を行います。

ラベルの抜き加工はデザインに合わせた精度が求められますので、見当合わせに職人の経験と技術が必要とされ、非常にシビアです。

 

特色印刷

印刷物の中でも日本酒ラベルは特色印刷への対応が求められる印刷物です。

通常チラシや会社案内などを印刷する時はCMYKという4色を使ったフルカラー印刷が行われます。特色印刷とは、文字通り指定した色に合わせて特別に調合したインキで印刷を行うことです。フルカラー印刷では表現できなかったり、もしくは特色にした方がよりキレイに色が再現できる時に使われます。昔から凝ったデザインで差別化を狙うことが多い日本酒ラベルは、同時に色の再現のこだわりも強く特色5色、6色など他の印刷物では見られないほど多くの特色を使うことがあります。

インキの調合には時間も掛かり、印刷の再現性も和紙ごとに異なる為、職人の技術と経験がより求められる難易度の高い印刷物です。

 

日本酒ラベルの表示について

先述したように日本酒は酒税法により課税される商品です。あまりなじみがないかもしれませんが国税庁は「酒類業の健全な発達」という任務を負っております。近年、酒税の収入は租税収入全体の約2%とだいぶ落ち込んでいますが、酒税に関する全国的な法律が出来た明治時代では、明治32年当時、租税収入全体の約36%を酒税収入が占めており主要な税金の一つでした。

また、酒類鑑評会も毎年開催しています。その目的は、酒造りの技術の進歩、また国税局管内のお酒の品質向上を図ることとされ、毎年多くの蔵元が参加して鎬を削っています。

「清酒の製法品質表示基準」は平成元年(1989年)に制定されました。清酒については、酒造技術の発達や消費の多様化に伴い、製法や品質の異なる色々なタイプの清酒が販売されるようになりましたが、表示に関して法的なルールがなかったため、消費者の方からどのような品質のものかよく分からないという声が高まっていました。

「清酒の製法品質表示基準」では以下のような基準が定められその後の製品選択の拠り所とされています。

1)吟醸酒、純米酒、本醸造酒といった特定名称を表示する場合の基準を定めるとともに、すべての清酒について、

2)清酒の容器等に表示しなければならない事項の基準

3)清酒の容器等に任意に表示できる事項の基準

4)清酒の容器等に表示してはならない事項の基準

※国税庁HPより抜粋 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/seishu/gaiyo/02.htm

 

記載に関する注意事項は以下ブログにも記載しております。併せてご覧ください。

日本酒ラベルの役割とは?売れるポイントと表示ルールを解説

和紙印刷なら当社におまかせ!

当社は大正10年に創業し、米どころである新潟県柏崎にて、日本酒ラベル、和菓子のお土産品など和紙を利用する印刷物を通して印刷技術を培ってきました。

新たに和紙を利用した印刷物の作成をお考えであれば、ぜひ和紙の印刷工房にお任せください。豊富な実績と培った技術で、理想の仕上がりを形にします。

以下のページよりお気軽にお問い合わせください。お待ちしております。

参考資料

・国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/seishu/gaiyo/02.htm

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